当事務所のHP内で、企業法務の役割が「企業のリスク回避」にあると記載しておりますが、このブログでは、その意味について、具体例を挙げながら説明してみたいと思います。
はじめに、何回かに分けて、社内規程にひそむリスクを取り上げます。
社内規程が定める規定内容には、指針や目標を示す規定、基準を示す規定、禁止や許可を定める規定など、様々なものがあります。これらそれぞれにどのように規定(=記述)すべきかという、いわば法制執務の技術の問題があるのですが、その点はこのブログの本筋ではないために脇に置くとして、まずは、社内規程が定める内容が明確でないことによるリスクについてお話します。
就業規則を例に取り上げますと、就業規則が定める内容には、服務、採用及び退職、休職、休暇、給与、表彰及び懲戒、安全衛生などがあります。
これらのうち、労働者(=雇用契約の相手方)の権利に関する規定は、明確に規定すべき内容の代表例となります。
まずは、給与・手当に関する規定。その支給要件と支給額が明確に規定されていなければなりません。これが争いになるのは、未払い、遅延、不足などですが、就業規則、あるいは別に定める給与規程のとおりに、各個別の条項に照らして誤りなく支給されていることを明らかに証明できれば、そこにリスクはないことになります。基本給、時間外勤務手当他各種手当について、例外的支給・不支給も含めて明確化することがリスク回避のために必要です。いってみれば、給与明細に記載された金額の一つ一つに、就業規則等に定める規定の裏付けがあり、説明できる状態にあることです。
企業法務は、そのような状態が満たされているかどうかをチェックすることになりす。(もとより、労働法制に適合しているかどうかという観点も重要なチェックポイントです。)
次の例として懲戒に関する規定を取り上げようと思っていましたが、長くなりましたので、このお話は次回に!

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